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縄文の復元住居 土屋根が主流に

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一般の人でも縄文時代、弥生時代には茅葺のお椀を伏せたような竪穴住居に住んでいたことは良く知っている。しかし、これが実は土で葺かれていたことを知る人は少ない。
この事実は研究者の間では既に30年以上前から知られていたが、教科書が書き変えられないので、一般認識が改められることがなかった。こんな折、産経新聞が各地で竪穴住居の復元に際し、土葺きに改められる状況をレポートしている。
※タイトル画像は群馬県黒井峯遺跡(6世紀中頃)の住居の断面図である。下記新聞記事とは関係ない。
栃木県立しもつけ風土記の丘資料館第9回企画展『古代の集落』(1995)資料、p.54 
(以下引用)

 

  産経新聞、令和3年(2021)8月2日
かつて近世の古民家のような茅葺きに復元された縄文時代の住居が、土をかぶせた屋根に変わってきた。発掘調査に基づいており、新たに復元整備される遺跡では土屋根が主流になるとみられる。ユネスコ世界遺産委員会で7月27日、土屋根が複数箇所で見られる「北海道・北東北の縄文遺跡群」の世界世界文化遺産への登録が決まり、縄文集落の景観イメージは大きく変わりそうだ。(寺田理恵)


発掘成果  変わる茅葺きの景観


  裏側から見ると、まるで土饅頭だ。「北海道・北東北」を構成する17遺跡の一つ「入江貝塚」(北海道洞爺湖町)の復元住居は土で覆われ、従来の茅葺とイメージを大きく違える。「風が入らず、保温性が高い」(同町教育委員会)という。
  茅葺のイメージがあるのは、現在見られる復元住居の多くが茅葺のためだ。縄文や弥生時代の家は、地面を掘りくぼめて複数の柱を立て、その上に屋根を掛けた半地下式の竪穴住居、床のくぼみや柱穴は全国で見つかっているが、失われた屋根は遺物などから推測して復元される。
  茅葺きは戦後間もなく、弥生時代の集落・水田跡「登呂遺跡」(静岡市)などで竪穴住居が復元された際に採用されたが、当時は屋根の素材が分かっていなかった。
  登呂遺跡では水田と集落一体となって確認され、考古学ブームが発生。教科書にも載せられ、水田稲作のイメージとともに茅葺も定着した。埋蔵文化財は地表に建物がなければ集客が難しい。各地の遺跡で茅葺きを参考に復元整備が行われた。


住居の焼土が物証


  土屋根の可能性が高まったのは、ここ30年余りの発掘や研究の成果だ。「北海道・北東北」の一つ「御所野遺跡」(岩手県一戸町)で平成8年に行われた焼失住居跡の調査では、焼け残った柱や屋根材と焼土の堆積状況から全国で初めて縄文時代の土屋根住居を確認。樹皮の下地に土をかぶせた土屋根が復元された。
御所野遺跡、縄文時代竪穴住居の土屋根経年劣化調査


発掘調査結果などを基に復元された竪穴住居。土屋根に溝を掘り、経年劣化を調べている。
=岩手県一戸町(御所野縄文博物館提供)

 

  御所野縄文博物館の高田和徳館長は茅葺のイメージが根強い要因を「全国の焼失住居跡の調査で茅は出土量が少ないことが分かっているが、茅葺きで復元したものを変えるには費用がかかるため各地でそのまま残っている」と指摘する。
大型掘立柱建物で有名な縄文の大規模集落跡「三内丸山遺跡」(青森市)の復元住居は茅・樹皮・土の3種類で葺かれている。同遺跡センターによると、7年から復元が進められ、土屋根は14、15年度に計5棟が整備されたという。
三内丸山遺跡、縄文時代竪穴住居を土屋根で復元


茅葺き(左)や土屋根(右)に復元された
「三内丸山遺跡」の竪穴住居=青森市(縄文遺跡群世界遺産保存活用協議会提供)

 

世界遺産登録で弾み


  土屋根は「北海道・北東北」以外の縄文遺跡でも「北代遺跡」(富山市)「宮畑遺跡」(福島市)「勝坂遺跡」(相模原市)など各地に広がっている。
  「梅之木遺跡」(山梨県北杜市)では、30年から年1軒ペースで復元が進む。同市教委の佐野隆参事は「茅葺か土屋根かではなく、年間を通して土屋根の住居を使っていたかが議論になっている。土屋根は夏に蒸し暑くなるので、実験のため5月頃に屋根から土を下して樹皮だけにしている」と話す。
  遺跡整備コンサルティング会社「ウッドサークル」(東京都中央区)の中田英史社長は「考古学的調査結果から、この10年ぐらいは土屋根が増えており、今後も増える可能性がある」と見る。
  文字による記録のない縄文時代の住まいや暮らしぶりが、発掘調査などで明らかになってきた。「北海道・北東北」の世界遺産登録をきっかけに遺跡整備の機運が高まれば、縄文の集落景観が塗り替わるか。考古学の動向が注目される。

 

地下に逃れ寒さを防ぐ
竪穴住居の本体は地上部ではなく地下にある。地上に見えているのは屋根に過ぎない。

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