長保元年令第十一条
応に重ねて主計主税二寮官人前分勘料と称し多く、賂遺を求め諸国公文を抑留するを禁ずべき事
右聞く如く、諸国の吏公文勘済之時、二寮官人前分勘料と称し賂遺を要する所、年を逐ひ厭う無し。毛羽生えるを好み、疵瑕を求むるを悪む。方有るは損益を計らず即時究済す。貯無くば賢愚を論ぜず拘勘之処、数年稽滞す。抑留之情公平存するに似たりと雖も、猶私曲無きに非ず。勘拘に於いて明らかなるは主計之最也。出納に於いて明らかなるは主税の最也。何ぞ更に人事を妨ぐるを以て、また人愁を致すを以て身を謀るを為すべきや哉。事皇猶を乖れ、理然るべからず。同じく宣す。
奉勅 自今以後此の如きの輩、制止に従わず、猶拘絆を致し、且つうは其の帳を超勘、且つうは見任を解却すべし。国司和同し他の為に告げられれば成功ありと雖も勧賞に預からず
。
以前條事下知すること件の如し。方今、号令の道内外分くると雖も、遵行之旨遠近何ぞ異なる。
奉勅 若し新制を乖れ旧弊を改むる無くんば、其の状迹に随い、将に科断を加えんとすれば、官宜しく承知し宣に依り之を行え。事、綸旨に出で遺失を得ず。符到り奉行せよ。
正五位下守右中弁源朝臣道方 正五位下行左大史多米朝臣国平
長保元年七月廿七日
出典:新抄格符抄、p.18、国史大系27、吉川弘文館

